村議会は本土の地方行政、其の他の視察研修のため、議員より、嶺井行正、永山盛豊、神谷正雄、城間実と村収入役、外間文治、の五氏の構成で1963年10月14日から28日間にわり、関東、関西、四国、九州の視察研修に行って来ましたので、その感想を申し上げます。本土と沖縄とは市町村行政に相当なひらきがあり、本土では、昭和27年から、地方自治の改革や、町村合併が実施され行政事務の機械化、また農業構造改革を年次的に樹立され、農村も著しく進歩を遂げているが、沖縄では旧態依然としておくれている。本土の出発二か年目の、昭和28年程度しか進んでないとの事で、本土の先進町村の実態を視察し、その視野を広めて村政の運営を前進せしめる目的でありました。視察先は、千葉県成田市豊住町のパイロット地区、堺市の干拓事業、香川県の長尾町の行政事務、鹿児島県姶良町等でありましたが、視察の内部については、次報で御知らせすることに致しまして、先ず本土に足をふみ入れて見た現状を申し上げます。第一に山地開発が至る所に目立ち、山地は工場敷地や、住宅地や、果樹園に開発され、観光施設も物すごく、山の頂上には高層ビルが建設されています。次に耕地が高度に利用されている事であります。
(1)耕地整理がなされ田のアゼがコンクリートに変わりつつあること。
(2)農耕地の道路、川河、農水路が整備されていること。
(3)水稲収穫のあとに、二毛作として野菜を作り、これを換金していること。
(4)至る所に時期はずれの作物が、ピニールやカンレイシヤ、等により栽培されていること
(5)果物が豊富に栽培されていること。
以上は主なる点だけ申し上げましたが、我村の現況を見た場合、原野になっている、傾斜地の開発によって三反農家から四反農家に伸ばすことも考えられます。
更に資産の蓄積や所得を増やす点からしても各部落に於ける積極的御計画を希望申し上げます。
次に干拓は都市をおびた所で土地が高価で売れる所でなければ困難な事業で、佐敷村の現在の財政では干拓事業は当分、容易でないと思います。(視察員代表 嶺井行正)