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議案説明 農業基本施設を改善 予算増の96%は政府補助

一、才入面から申上げますと、予算総額53,732ドルで前年度予算総額より21,560ドル増額しております。前年度予算と比較致しまして特に変った点を御説朋申し上げる事に致します。
増額の主なるものは村税で375ドル市町村交付税9,288ドル政府支出金の内の失業対策事業費に対する補助金2,000ドル、同じく農業基本施設費に対する政府補助金と地元負担金10,000ドルがその大きなものでありまして、増額の96%が政府の補助金であり、残り4%が村民負担の増となる訳であります。市町村交付税で9,288ドルと大巾に増額してありますが、この額は1963年度の交付実績32,327ドルの総93%に相当する額であり、確実なる歳入見積りと言えるのであります。
政府は1963年度の市町村交付税予算1,973,500ドルに対し、1964年度は2,498,900ドルの予算を立法院へ提案してありますので、新年度における市町村交付税は大巾に増額される見込であります。市町村交付税は内務局地方課の予算編成指導要項に基き計上されたのであります。
次に失業対策事業の政府補助金は労務費に対する全額補助を計上し農業基本施設費に対しては工事費の80%を政府補助として20%を受益者負担金として歳入を見積ったのであります。

二、次は歳出面について申上げますと歳出予算の編成に当っては財源の重点的配分と経費の高率化を基本方針とし、さらに将来に於ける健全財政の基礎確立を目標として編成したのであります。前年度予算より幾分増額した費目もありますが、これらの増額理由の説明は後で助役が詳しく御説明申し上げる事に致しまして、私は比較的増額の大きい一款議会費、二款役所費、五款社会及労働施設費、七款産業経済費、十一款諸支出金について御説明申上げまして、皆様の御了解を御願い致し度いと思います。

①、議会費について
第一款議会費で1,292ドル増額計上してありますが、この増額は隣接町村とも歩調を合せまして議員報酬を平均二割八分程度引上げ計上した事と議員の費用弁償額を幾分引上げ計上したからであります。今回引上げ致しましてなお市町村交付税の交付基準に遥かに遠いのでありまして、今後更らに引あげて行く方針であります。

②、役所費について
第二款の役所費で前年度より4,431ドルと大巾に増額してありますが其の増額の主なるものは役所職員の待遇改善の費用と職員二人を増員するための費用であります。役所職員の待遇改善につきましては、昨年12月の定例議会におきましても議会の特別なる御配慮によりまして全員昇給の恩典に浴し職員待遇も一歩一歩改善されて来たのでありますが、現在でも職員待遇は薄給でありまして、生活補償給にはまだまだ遠く、また他の職域の待遇面と比較致しましても大分低い現状であります。  以上の様な実情でありまして職員の生活状態を考えます場合真に同情の念に堪えない所であります。
 次に職員二人の増員についてでありますが、一人は土木技術員の新設でありまして、これは今まで政府で行って来ました市町村工事の測量設計が市町村に移されましたので、従って市町村と致しましては技術員を増員せねばならなくなったわけであります。後の一人は財務課職員の増員を予定しておりまして政府は、市町村交付税法によって毎年政府予算の中に巨額な市町村財政の強化に努めておるのであります。市町村交付税の趣旨は御承知の様に市町村住民の負担を軽減し、且つ各市町村の基準財政需要額に対する基準財政収入額の不足額を全額この交付税によって補填する制度であります。従って今回提案致しました役所職員の増俸予算も政府が定めた基準財政需要額の枠内でありますので、結局村民の負担を増す事なく市町村交付税の範囲内で今度の増俸予算が計上されているのであります。
私はこの機会において職員の待遇を改善し、以て職員を生活苦から救い職員が安心して村民の福祉増進のために全力を尽して働くよう督励する考えでありますので議会におかれましても慎重に御審議の上御協力下さる様御願い申し上げる次第であります。

③、社会及労働施段費について
第五款社会及労働施設費で前年より2,332ドル増額しておりますが、この増額分は殆ど失業対策事業費を新規計上したからであります。これは全額政府補助で賄われているのであります。

④、産業経済費について
第七款産業経済費で前年度より10,263ドル増額しておりますが、これは主として農業基本施設費の農道工事費5,000ドルと排水工事費5,000ドル計10,000ドルを新規計上したことがその主なる理由であります。
これ等の工事費は80%が政府補助で20%が受益者負担となる訳であります。

⑤、諸支出金について
第十一款諸支出金で前年度より3,029ドル増額しておりますが、その主なる理由は市町村自治法の改正に伴い区長制度が廃止されましたので、従来役所費の中にありました区長給料が事務委託料として第十一款諸支出金の七項委託費として予算の組替えのためであります。さらに各区長に対し徴税手当として423ドル新しく計上した事も増額の一部の理由であります。

⑥、其の他の項目について。
新年度予算の内その他の項目については前年度と大同小異でありますので、説朋を省略致しますが、詳しい事は後で助役から説朋させる事に致します。本議会に提案致しました議案は只今御説明申し上げました。1964年度の歳入歳出予算案の外決算認定その外村条例の一部を改正する条例案の三件予算繰越議決案、都合六議案を提案致しましたので慎重御審議の上適当に議決下さいます様御願い致します。以上申し上げまして提案埋由の説明と致します。 (1963年6月27日)

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大分類 テキスト
資料コード 008435
内容コード G000000412-0012
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第1号(1964年2月)
ページ 2
年代区分 1960年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1964/02/01
公開日