前号で唐船岩の話をしましたので、今度は久手堅のボーザー石のお話しをしましょう。
久手堅の公民館前の広場をカナナー(神庭)といいます。ここに高さ五〇糎長さ七〇糎ぐらいの猫が寢たような形の石がポツント生えています。
三月三日に村の者はみんな浜下りをします。夕方登ってきてこの石を中にすえゴーマールー(円陣)でイートベーシ(えとおもろ)をはやし立てなから酒を汲み交し豊年を祝います。六 月のウマチーとカシチーの綱引きが行われます。このときはスニン綱でできるだけ自分の綱の側に人をあつめて勝とうとしますがときには綱の尾端(ズーブ)がこの石にひっかけられることがあります。根石ですからビクともしません。結婚式のとき花嫁の家にいく前に必ずこの石を拝みます。また花婿いじめの「ドードー馬乗せ」もこの石をまたいで乗せました。七月のヌーバレーの棒もこの石を折返しにして上のカナナと下のカナナと往復してここで最後にゴーヤー巻というスーマチ(潮巻)をやります。ウスデークもここでゴーを組んでやられました。
夏の夜長を村のアングワター(娘たち)はこの石にシツチャキーして男のうわさ話でもして語りあかしたことでしょうまたどこかのウスメー、ハーメーも若い頃この石に腰かけ甘い恋の実を結んだことを忘れないでしょう。
幾星霜もの間雨にうたれ風にさらされたこのボーザー石は村の数々の出来事を吸いこんで、 今なおゆったりと座っております。
久手堅のボザ石や果報な石やゆさ、毎夜アングワターにしちなされて。
(新垣)
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008533 |
内容コード | G000001345-0007 |
資料群 | 旧知念村広報 |
資料グループ | 広報ちねん 第12号(1981年2月) |
ページ | 6 |
年代区分 | 1980年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 知念 |
発行年月日 | 1981/02/25 |
公開日 | ー |