久高島は西海岸の本島(ウフジ)に面するところは波荒く断崖が迫り岩山が多い。これに反して東海岸は波おだやかで北端のカベールから美しい環礁に取囲まれ、打寄せる波ははるか彼方の神々のいますニライカナイまで続いている。
この真白い砂丘にビロードの觸感をもつ葉のモンパの木(スーキ)の群落が盆栽のような枝 ぶりで低く続いている。またカベールの岩にはミズガンピ(ハマシタン)がへばりついていた がいつの間にかこれもなくなってしまった。
ここに五穀発祥の神話のある伊敷浜がある。
むかし、久高にはじめて住みついたアナゴノ子という人がいた。ある日伊敷浜に出て、海をながめていると、白い壺が一つ、浮いて寄ってきたので、すくいあげようとすると壺はすぐはなれまた寄ってくる。そこで家へ帰って、女房のアナゴノ姥に話すと、これは屋久留川にいって身を清め白衣をつけないととれない。アナグノ姥はさっそく身を清めてそのとおりすると壺は波に漂いながら、ひろげた袖の上に乗ってきた。それを取り上げ家へもって帰って開けてみると、麦・粟・黍・小豆の種子と・クバ・アザカ・シキョの七つの種子が入っていた。この種子を播くと、麦は春熟し、粟と黍と小豆は夏熟し、またクバは高く伸び、アザカとシキョは生い茂って森嶽となった。それで一年おきに二月の日を撰んで久高島に王様が行幸なさった。
これは『琉球由来記』にのった神話の一つです。アザカは「ボチョウジ」でシキョは「ス
スキ」の古名であります。
知念村文化財保護委員 新垣源勇
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008532 |
内容コード | G000001344-0010 |
資料群 | 旧知念村広報 |
資料グループ | 広報ちねん 第11号(1981年1月) |
ページ | 8 |
年代区分 | 1980年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 知念 |
発行年月日 | 1981/01/ |
公開日 | ー |