なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

心の豊かさ 文化財を大切にしよう

私たち知念村には、祭りや伝統芸能、名所旧跡などいろいろな文化財があります。その地域の文化財は、私たちに心の豊かさを与えてくれます。
現在、知念村教育委員会では“文化財の保護に向けて”着々と歩み始めております。
昨年の十二月には知念村文化財保護条例が制定され、五名の文化財保護委員が村内文化財の保存や活用のために活動しております。さらに教育委員会では無形文化財の保護のため、地域の伝統芸能の保存に努めております。その一環として昨年度は、知名の「八重瀬」(昨年十八年ぶりに復活) 、安座真の「忠臣護佐丸」(今年二十五年ぶりに復活)、山里の「伏山の士討ち」(現在準備中)の三組踊りを指定し、補助策を講じました。さらに今年は、久手堅の「棒術ていんべえ」、志喜屋の「棒しゅうまち」の二棒芸能を指定しました。そして来年は志喜屋の「花売りの縁」、知名の「手水の縁」を指定する予定です。
このような知念村の風土と歴史により生まれ、育くまれてきた文化財を守りぬくためには、ただ伝統を継承するだけでなく、地域の人々の文化財に対する“心のかよい”が必要です。地域の文化財を大切にしよう。その心が大事です。その心が“心の豊かさ”ではないでしょうか。

安座真区も文化財保護委員会が発足
安座真区では、今年の三月文化財保存委員会(屋比久末晴委長)が発足し、文化財の継承発展に努めております。
これは、部落内にある有形、無形の文化財を整備・保存し、継承してゆこうと結成されたも のです。さしあたり、無形文化財の保護に力を入れ、初年度は、村教育委員会とタイアップして、伝統芸能の組踊り「忠臣護佐丸」を復活に努め、八月二六日の禮年祭には、二十五年ぶりに披露されました。また、十月二六日には、「忠臣護佐丸」復活の記録ビデオの映写会が行なわれ、約百名の区民が参加し、文化芸能に対する区民の関心の高さがうかがえました。
また今回、「忠臣護佐丸」の復活に努力された安座真区文化財保護委員会顧問上原官得さんは 次のように述べており
ました。
「忠臣護佐丸」は、昭和八年頃から演じられ、昭和十八年まで続けられ、戦時下のため中断 しました。戦後は、昭和二九年三〇年と二ヶ年間行なわれたがいろいろな事情により中断し、 今回二五年ぶリに復活することができたわけです。
昔は七月ヌーバレーと言って朝の十時頃から行ない、組踊りの他、「ハウドィ(舞踊)」「チョ ウギン(喜劇)」なども行なわれ盛んでした。それに、ほとんどの部落で行なわれていましたので活発でした。
現在では、知名区と安座真区ぐらいしかありません。ですから、現在残っている地域の伝統 芸能を大事に守リ育てて欲しいと思います。特に若い方には、がんばってほしいと思います。

“心のふるさと”郷土の文化財を守ろう
ある外国人は、日本のことを“浮かぶ溥物館”とよんでいます。日本には、独特の風土と歴史の中ではぐくまれてきた文化財が豊富に残っており、海上に浮かぶ一大博物館である―という意味なのでしょう。
建造物をはじめ、絵画、彫刻、工芸品、考古資料などの文化財は、その土地の歴史と風土の 結晶といえます。わたしたちは祖先が残してくれた“民族の遺産”を大切に保護し、後世に伝 えていかなければなりません。
わたしたちの郷土にも、いろいろな文化財があります。これらの文化財は、郷土の誇りとし て、同時にわたしたちの“心のふるさと”として、末永く大切り守りぬいていきたいものです。
わたしたちの、ひいては日本の文化財の多くは、紙や木のようないたみやすい材料でできていることが特徴です。そのために、耐久力が弱く、とくに火災にあうと跡形もなく焼失してしまいます。そのため、文化財の保護には、わたしたちの温かい思いやりとキメ細かな配慮が必要です。
文化財の保護は、まず文化財についての理解と愛着から—この機会に親子そろって史跡めぐりをするなど、郷土の文化財に接してみませんか。

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大分類 テキスト
資料コード 008531
内容コード G000001343-0004
資料群 旧知念村広報
資料グループ 広報ちねん 第10号(1980年12月)
ページ 4-5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 知念
発行年月日 1980/12/20
公開日