子どもたちが心身ともに健康でたくましく育ってほしいと思うのはすべての親の願いです。
ところが、こうした親の気持ちとは裏腹に、年々いろいろな問題が起っています。
その問題の一つに「高校生とオートバイ事故」があります。 今年九月末までに高校生のオートバイ死亡事故はすでに十一人にも達しております。学校や父母そして警察でもその対策に頭を痛め、若い命を交通事故から守ろうと熱心に指導を行なっていますが、事故は後を断ちません。
なぜ、オートバイ事故は起こるのか、オートバイ通学の問題と合わせて、今一度この問題について考えてみたいと思います。
本村の実態
オートバイ通学に対する各高校の指導方針は、ほとんどが全面禁止か許可制をとっており、 許可制の学校でも許可基準は厳しいのが現状です。実際知念村では、許可されているオートバイ通学は、知念高校で一台あるだけです。
しかしながら、実態は多くの者が無届出で乗り回しているのが現状です。青少協の調査によりますと、村内で高校生自身の名義であるオートバイが二十一台もあり、家族名義で高校生が乗っているのも含めますと実に三七台もあります。
学校の方針
許可している学校では、生徒に対して、①125CCを越えるオートバイは乗らない②二人乗りや貨し借りをしない③へルメットを着用する④スピード違反をしない⑤夜間九時以降の乗車はしない—などの五原則を厳しく指導していますが、効果はあがっておりません。この問題について、知念高校生徒指導部の新垣先生は次のように述べておりました。「許可基準を厳しくすると同時に、許可車両については、交通安全指導を徹底しているわけですが無届でオートバイ通勤するのが現状です。何度指導しても効果はありません。
やはり、保護者のみなさんがオートバイを生徒に買い与えないようにするのが一番よい方法です。
父母の立場
それでは、オートバイ通学を全面禁止にすれば、事故がなくなるかといいますと、そうではないようです。事実、オートバイを所有している七割の生徒が遊びを目的として下校後、乗り回しているのです。実際、オートバイ事故は夜間に多く発生している事実と考え合わせると髙校生にとってほんとにオートバイは必要であるかを考えさせられます。それに、オートバイに夢中になって学習意欲が低下し非行に走る例もあります。
このような事実に対して—親たちは“オートバイを飛ばしすぎるな”とか“夜遅まで遊ばず早く帰れ”なんて言うだけであると、生徒たちはいいます。
やはり、親は子どもにオートバイを買い与えた場合、学校の指導方針に協力して、 自分の子どもの所在、行動を十分に掌握して、ヘルメットの着用、制限速度の順守などを徹底させる必要があります。
その前に、父母は、学校ではほとんどオートバイ通学を禁止している事実を認識し、安易に子どもにオートバイを買い与えないようにすべきではないでしょうか。
そして、事故防止だけに限らず、青少年の健全育成の立場から、学校、父母、地域の人々が一致協力して「高校生とオートバイ」の問題解決のために努力する必要があると思います。
知念高校2年5組「高校生とオートバイ」より
1. オートバイを手に入れた方法は
(1)アルバイト49%、(2)親のお金で26%、(3)もらった25%
2. オートバイの利用法は
(1)遊び 31%、(2)ドライブ 21%、(3)デー卜 20%、(4)通学 15%、(5)アルバイト 13%
※72%が娯楽のために使用しています。交通手段としての必要性によるもの28%しかありません。
3. 事故を起こしたことがあるか
(1)ある59%、(2)ない 41%
※オートバイ利用者の6割が何らかの事故を起こしているのです。
「スピードを出したい」という欲求は誰でももっている本能的なものであるが、ひとつまちがえばたちまち死の世界へとびこんでしまう。命のスペアーはないのだから、自分を含めて人命の尊さを再認識してほしい——高校生自身の提言
ダウンロード | https://docs.google.com/uc?export=download&id=1_XGvvKLBPOM_1Ig2hgYZ3K6XV7n-oJ6V |
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008531 |
内容コード | G000001343-0001 |
資料群 | 旧知念村広報 |
資料グループ | 広報ちねん 第10号(1980年12月) |
ページ | 2-3 |
年代区分 | 1980年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 知念 |
発行年月日 | 1980/12/20 |
公開日 | ー |