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昭和55年度施政方針 村財政の健全化/社会資本の整備

昭和五十五年度本村三月通常定例議会が本日開催されるにあたり、村政の根幹となる昭和五十五年度知念村一般会計予算をはじめ、知念村国民健康保険事業特別会計予算及び知念村簡易水道事業特別会計予算並びに連条例等十五件の議案のご審議をお願いするにあたり、新年度に向けての施政の一端を申し上げまして、議会議員の各位のご賛同と村民一人一人の深いご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
昭和五十五年度の予算編成にあたっては、経済運営の基本的な見知から物価の動向に留意し つつ景気の回復基調をより一層確実なものにすることと、村民の生活安定を図り、国の経済的均衡と安定成長路線への確立及び円滑な財政運営の健全化策を樹立することにあると思います。
特にわが国の最近の経済は、物価安定を強力に推進する中において、国際的な石油危機以降、 二・三年間は世界的な不況の波にあい、企業の倒産等によって失業者は年々増嵩してきましたが、最近では国の施策や国民の努力によっていささか景気の回復と経済安定成長の兆が見られるもののオペックとの関係で、国際的経済事情はますます窮極化しており、必ずしも楽観的な情勢ではありません。
このような社会事情の中にありながら住民の国や地方公共団体に対する要求は、ますます旺盛になり、生活中心、福祉優先と、時代の変化にともなって国や市町村等の地方公共団体の財政需要も年々増大の一途をたどっております。
現下の経済情勢に適切に対応するには、村財政の健全化に努めることが最大の課題でありますが、地方財政は、国の財源に大きく左右されるものがあり、特にわが村の財政は、地方交付税等の依存財源に大きく委ねられている状況であります。今後とも国の施策に順応しながら引き続き景気浮揚、雇用の 拡大等を図りながら、財源の充 実強化と確保に最大の努力を傾注し、歳出面においては、住民の利益と安定した経済の下に快適な生活環境の整備、きめ細かな各種福祉施策の拡充、充実した教育施設整備、農水産業の基盤整備及び産業の振興、村民の保健・医療・衛生等の重点施策として、社会資本の充実整備を図りながら厳しい財政事情の下で、村民要求に対応すべく事業の緊急性を踏え、経常的消費経費の節減合理化に努め、可能な限り村民の要求に応えるベく投資効果を高めることを目標に適切な資金計画を樹立し、あわせて効率的な予算執行を期して、村民の経済的向上と生活安定に寄与すべく最大の努力と財政効果が得られるように昭和五十五年度の予算を編成した次第でございます。

一般会計 十六億四千七百二十七万円 前年度比三四%増
まず昭和五十五年度知念村一般会計予算総額は十六億四千七 百二十七万円で、前年度より四億一千八百三十五万二千円の増額、三十四%の伸びとなっております。
この伸び率は、私が村長に就任した翌年の約二倍の伸び率に次ぐ第二位の伸び率で、昭和五 十五年の地方交付税の伸びがわずか五・六%という非常に厳しい一般財源の伸びにおいて、どのようにして義務的経費や数多くの事業費の対応費を捻出することができるか苦労いたしましたが、幸にして十六億四千七百万円余の一般会計予算を計上することができましたことは私はもとより、関係者の皆様方と共に喜びにたえません。
又知念村国民健康保健事業特別会計予算総額は一億五千四百二十三万五千円となり、十二%の伸びとなっております。医療費の高騰による伸びが主でありますが、今年度は助産費の給付金の改訂で、前年度まで一人当り六万円を八万円に増額したのが主な改訂事項でありますが、当然医療費の増にともなう財源は保険税をもって充当するのがたてまえでありますが、一挙に保険税の増額ともなれば被保険者負担が重くなりますので住民負担をいささかでも軽減すベく前年度同様一般会計予算より五百万円を繰入れすることにしました。
知念村簡易水道事業特別会計予算は、前年度より八・七%増の六千七十五万八千円となって おります。
ご承知のとおり、簡易水道事業特別会計の運営が昭和五十三年度までに久高島への海底送水管施設工事が完了し、前年度から通常的な水道経営に移行してまいりましたが、今日まで村内一円に施設整備してきました事業費の対応費が起債に依存してきましたので、その元利償還額の源資も本来ならば水道使用料金によって賄うのが当然の策であり、水道料金の改訂を図るベきでありますが、一挙に料金を引き上げるのは村民負担の過重の要因となり、村民の負担軽減を図るうえからも可能な限り安い水道料金で日常生活に欠くことのできない水を村民に安心して供給しうるため当分の間、一般会計予算より繰入れすることにいたしました。
以上申し上げました知念村の三つの会計予算総額は、一八億六千二百二十六万三千円となって村民一人当り三〇万二千六百円余となっております。このような膨大な予算を計上しましても今や村民は、物量の豊さからうるおいのある生活を求める声が高まり、産業の振興ばかりでなく、生活意識の変貌は地域を問わず、各種福祉施生活関連施設の整備、教育・文化 医療制度等の身近な問題の対応の強化を希求しております。
このようにめまぐるしく進展していく地域社会の動向に対応するには自主財源の乏しい本村では、村財政の母体となっている地方交付税をはじめその他の一般財源の伸びに期待し、限られた財源を有効適切に活用して村民の期待に応えるベく最大の施策を講じ、昭和五十五年度の重点目標は次のとおりであります。

一、農漁業の振興と基盤整備の拡充
一、生活環境の整備
一、教育文化の向上と基本施設の充実
一、社会福祉の拡充整備

農漁業の振興と基盤整備の拡充
以上の施策を具体的に申し上げますと、農漁業の振興と基盤整備については、農業振興策と して、農作物等の病害虫防除及び駆除対策、キビ古株更新補助サヤィンゲン・オクラへの奨励 補助、農薬購入補助、寒冷沙購入補助等の従来までの農業振興奨励補助策に新らしく農産物の増産を図るベく土づくりのための補助策及び久高の野菜輸送を円滑に行なうための輸送補助を行ない、久高島での農業後継者育成を図っていきます。
又農業基盤の整備については補助事業として採択不可能な場所の農道排水施設等を単独事業で整備し、農家の生産コストの軽減を図っていきます。
水産振興としては、久高漁港の整備事業、海野漁港に荷さばき施設、製永施設、冷凍・冷蔵 施設等の基本施設整備事業及びモズク養苗施設等の基盤整備事業並びに漁船に通信施設補助を行ない漁民が安全かつ安心して操業が営なまれるようにします。
そのほか二〇〇海里時代に順応した栽培漁業の育成を図るためにご案内のように板馬地先に県直営事業として全国でも有数の養殖施設を整備することになっており、地域水産業の躍進が図られることになります。

生活環境の整備
村民が健康でかつ文化的な生活を営むううで保健衛生計画を樹立し、保健衛生思想の普及と久高島をはじめとする巡回診療の実施、各種予防接種などの充実を図って村民の疾病の早期発見と予防の強化に努めます。
又環境衛生としては、村民が長年待望していた島尻消防清掃組合におけるゴミ処理施設が完 成し、いよいよ四月一日から操業が開始され、村内のゴミが収集処理されることになり、知念村の恵まれた美しい海や山の環境が美化されることは、村民と共に喜ばしいことでございますが、今後共に村民総参加によるゴミ処理、美化推進を強化していくことにします。
生活環境の基本整備として、生活道路、排水施設を整備するために山里地内道路の整備をは じめ、児童・生徒の交通安全対策のためのこうがい排水施設の整備を図って、交通安全の確保を図ります。

教育文化の向上と基本施設の充実
学校教育、社会教育及び文化財保護育成を図っていくために、基本施設として知念小学校舍建築事業、知念中学校視聴覚等特別校舍建築事業、久高小中学校長教員住宅建築事業等の学校教育基本施設整備及び社会教育の充実強化を図るために図書館建築事業を行ない、教育文化の施設整備を図ることにしています。
教育文化の向上と振興を図るために社会教育委員に関する条例及び文化財保護条例も昨年制定し、新年度からその本格的活動を行なわせしめ、我村の教育文化の向上に寄与いたすべく予算措置も講じ、あわせて今年知念村史編集委員会設置条例も制定し、村史の編集発刊に努めていくことにいたします。

社会福祉の拡充整備
児童福祉、母子福祉、老人福祉等のきめ細かな実情に即したところの各種福祉施策の充実強 化をはかるベく、新らしく福祉課を設置し、村民の福祉増進に寄与いたすことにしております。 特に心障者対策及びねたきり老人対策、一人暮し老人対策として、ヤクルトの無料配付による日常の健康状態確認のため「一声かけ運動」の実施、又村児童屋内体育施設を建築整備し、児童の体位の向上と青少年の健全育成を図っていきたいと思います。
以上申し上げまして私の所信といたしますが、このような予算を効率的に執行していくため には議会議員の皆様をはじめ、村民の深いご理解とご協力をお願いしなければなりません。
どうかよろしくご審議を賜りますようお願い申し上げまして、私の昭和五十五年度の施政と予算編成の指針といたします。

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=1IG6s_xSCZ_cpemOAy0TBL7GW_1Qmlv-S
大分類 テキスト
資料コード 008529
内容コード G000001341-0001
資料群 旧知念村広報
資料グループ 広報ちねん 第6号(1980年4月)
ページ 2-3
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 知念
発行年月日 1980/04/01
公開日