大卒と高卒ではどちらがトクか、などのソロバンをはじくひともいます。
生涯賃金の計算だけで教育を測るのはおかしいし、教育というものを人間の価格を高めるものとみるのもおかしいことです。
しかし、ととのった衣服を着せると人をりっぱに見せるように、心にも美しい服を着せれば 美しく見えるものです。教育費とは、この“心の衣服”の購入費なのです。身だしなみをととのえれば人間の心をさわやかにし、よごしたくない気持ちになるものです。心の衣服を着せれば、心自体をよくする可能性が強くなるのももっともなことかもしれません。
教育を与えればりっぱに生きたいという気持ちを引き出していくと思うのです。だからこそ 親は、わが子にたいしてソロバン抜きで十分に“心の衣服”を着せたいと思っているのです。昨今の教育費の思いのほかの高さに何度もソロバンならぬ電卓を持ち出すしまつです。義務 教育における学校教育費の負担は減っても、父兄が支出する学習教材費などはふえていますし「家庭教育費」にいたっては、うなぎのぼりです。
また、幼稚園から大学まで、やむをえずしてはいる私立学校の費用は、公立に比べて格段の 違いです。
幼稚園では幼稚園の親なりに大学生の親はそれなりに、限度いっぱいのすねに細まっている のはたしかです。
十分な教育を願う親心から、両親は必死で働いています。しかし高学歴化にともなって教育 の成果に関係なしに教育費は物価の上昇よりはるかに大きくのびて、家計をなやませているのです。
いま家計は、お金をかければ教育効果が上がるという盲信への反省と、計画的な教育資金の 準備など、教育への取り組みの重要性を見落としてはならないのです。
評論家青木淑子(はこべ五月号より転載)
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008356 |
内容コード | G000000333-0011 |
資料群 | 旧知念村広報 |
資料グループ | 広報ちねん 第2号(1979年8月) |
ページ | 7 |
年代区分 | 1970年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 知念 |
発行年月日 | 1979/08/01 |
公開日 | ー |