はじめに
昭和五十四年度本村三月通常定例議会が開会されるにあたり、昭和五十四年度一般会計予算をはじめ、国民健康保険事業特別会計予算及び簡易水道事業特別会計予算並びに関連条例等のご審議をお願いするにあたり、新年度に向けての施政の一端を申し上げ、議員各位のご賛同と村民一人一人のご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
最近の我国の経済情勢は、かつての高度経済成長時代から安定経済成長時代へと大きく転換してきたが、ここ二、三年間は世界的な不況の波にあい企業の倒産等によって、失業者は年々増嵩して、 その不況は益々深刻化してきましたが、最近では国の施策や、国民の努力によっていささか景気の回復の兆が見られるものの、昭和五十三年同様地方財政については、引き続き厳しい財政状況下におかれております。
現下の経済情勢に適切に対応するには、村財政の健全化に努めることを目途に、おおむね国、県との基調により、歳入面においては、住民負担の合理化に配慮しつつ、財源の充実強化と確保に最大の努力をし、歳出面においては、住民の利益と福祉増進、地域産業の基盤となる社会資本の整備を推進し、あわせて景気の着実な回復が図られることを最大の目標にし、村財政においては、消費的経常経費の無駄な経費を合理化し、社会資本の根幹となる投資的経費を高めることを基本として、効率的な財政運営と地域住民の福祉の拡大、産業の振興、生活環境の整備、教育の向上発展等に特別に配慮して昭和54年度の予算を編成するにいたりました。
まず、昭和五十四年度の知念村一般会計予算は十二億二千八百九十万八千円で前年度に比ベて一億二千五百二十七万五千円の増額で、十一・三五%の伸びであります。
国民健康保険事業特別会計予算は一億三千七百七十二万二千円は、前年度に対し、一七七三%伸びで、二千九百八十九万八千円の増額。
又、簡易水道事業特別会計予算は五千五百八十八万六千円で、前年度に比べて五千四万七千円の減額となっておりますが、これは昭和五十二年、五十三年度において、久高島への海底送水管施設費総額的三億三千万円の工事が完了し、本島同様完全給水が昨年八月から行われ、臨時的経費がなくなり純然たる経常的な簡易水道事業会計予算に移行されたための減額となっております。
これらの三会計の総額十四億二千二百五十二万六千円となり、村民一人当りの予算額は二十三万五千五百円となっております。
今や村民は物量の豊さからやすらぎのある生活を求めている声が高まり、農漁業の振興ばかりでなく、生活意識の変貌は、 都市、農村を問わず、各種福祉施策、生活関連施策の整備、社会教育、医療制度等の身近な問題の充実強化を望むようになってきていることはご承知のとおりであります。
このようにめまぐるしく進展する地域社会の動向に対応するには、自主財源の乏しい本村では、村財政の母体となっている地方交付税をはじめ、その他の一般財源の交付に期特し、限られた財源を有効適切に活用してひとつでも多く村民の期特に応えるベく最大の旋策を講じることであります。特に昭和五十四年度一般会計予算は、次の四つの重点施策を最大目標に予算を編成いたしました。
一、農漁業の振興と基盤整備の拡充
二、各種社会福祉の拡充
三、教育の向上
四、生活環境の整備
農漁業の振興と基盤整備の拡充
以上四つの施策の主なるものを申し上げますと、農漁業の振興と基盤整備の拡充は、農業基盤整備として、防衛庁補助事業の吉富排水路施設整備費三千五百万円、知名安座真地内の農地保全事業、酪農団地施設費一億五百九十三万円、単独農業基盤整備費七千万円、水産施設整備事業として、久高漁港整備費八千万円、単独事業として志喜屋モズク養殖施設等二百万円、農業振興奨励費として、 サヤインゲン、 オクラ、きび古株更新等補助金一千二百八十万円、及び病害虫対策費補助金三百六十万円等が主なる農漁業振興と基盤整備となっております。
各種社会福祉の拡充
第二の社会福祉の拡充は、久原児童屋内体育施設費三千二百三十万円、昭和五十三年度で増設中であった中央保育所での乳児保育措置を南部市町村で先きがけて行ない、安心して母親が働けると共に乳児が健かに養育されるよう保育所の拡充、一人暮し老人対策としては、 ヤクルトの無料配付によって一人暮し老人の健康安全対策等を行って、社会福祉の拡充を図って行きます。
教育の向上
第三の教育の向上は、知念中学校の視聴覚特別教室の校舎建築及び通路施設事業費の九千五百七十万円、単独事業として知念中学校運動場整備費一千二百万円、村内各学校の備品費二千七百七十万円をはじめ、管理設備費として一千五十万円等、教材をはじめ各学校が非常に満足するほど予算措置し、義務教育の向上と充実強化及び社会教育の充実を図るため、公民館活動費並びに文化財保護育成を図るため、新しく予算措置いたしました。
生活環境の整備
第四の生活環境の整備については、従前どおり住宅地内の排水施設、生活道路の整備を図っていき、村民が豊で住みよい知念村をめざして調和のとれた地域社会を建設していくことにいたしました。又国民健康保険事業特別会計においては、被保険者の保険税の負担軽減を図るため、一般会計から五百万円を繰出し、簡易水道事業特別会計についても久高島への海底送水施設事業債をはじめ、今日まで施設整備した村債の元利償還金の充当財源を村民の消費者から料金徴収せずに一般会計予算から一千百十三万五千円を繰出し、償還財源に充当することにいたしました。
おわりに
なお、期未勤勉手当については、他の市町村とも比較検討し、つとめて国なみに支給率を改定する予定であります。以上申し上げまして私の所信といたしますが、このような予算を効率的に執行するには、議員各位はもとより、村民の深いご理解とご協力が得られなければ充分な経済効果がなされるものではありません。どうか充分なご審議をお願い申し上げまして、私の予算編成方針といたします。
ダウンロード | https://docs.google.com/uc?export=download&id=1R4zF40zJPMQpCcTBLRsCuJ_H7_FgEoue |
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008355 |
内容コード | G000000332-0002 |
資料群 | 旧知念村広報 |
資料グループ | 広報ちねん 第1号(1979年6月) |
ページ | 2-3 |
年代区分 | 1970年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 知念 |
発行年月日 | 1979/06/01 |
公開日 | 2023/05/23 |